それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第7章 核心には届かない
スノーは青く澄み渡った空を仰いだ。
いい逃げするかのように部屋を飛び出してしまった、という自覚は十分にある。
きっとリドルならばスノーの言い分を飲んでくれるだろう。
悲しそうな顔をしながら、仕方ないね、と納得してくれるだろう。
それが申し訳なく罪悪感が募る。
空は今日も抜けるように青い。
学園内に時刻を知らせる鐘は教室よりも遥かに高い位置、空に近い所に位置する。
鐘を雨風から守るためについている屋根の下。
手を伸ばせば雲に届きそうなこの場所はスノーのお気に入りだった。
こんな所には滅多に人も来ない。
物思いにふけるにはうってつけの場所だった。
"マグルの父と同じ名前など、俺様は情けない。
ゆえにこの名は捨てたのだ。"
吐き捨てるように言った我が君の顔は今でも鮮明に覚えている。
我が君、ヴォルデモート卿は魔法使いの母親と、人間の父親の間に生まれた子供だったらしい。
母親は純血の魔法使い。
父親はごく普通の人間、マグル。
母親が愛の妙薬、いわゆる惚れ薬を使って駆け落ち。
そのまま無理やり身ごもったのだ。
その後、母親が薬を使うことを辞めた途端に父親は逃走。
我が君は孤児院でその母親の命と引き換えに産み落とされた。
トム・リドルは元々彼の父親の名前だという。
元々、平凡なトムという名前を嫌っていたらしいが、父親がマグルだと確信したその時から彼は名を捨てたのだ。
そう、彼はマグルが大嫌いだから。
魔法使いだけの世界、魔法使いが優位な世界を作ろうとしていたのもそのためだ。