それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第7章 核心には届かない
「オホン。
人にはそれぞれの過去がある、ということですよ。」
沈黙を破るかのようなクロウリーの咳払いに、一同がハッと表情を取り戻す。
「学園長はそのヴォルデモート卿という人を知っているんですか?」
ユウが遠慮がちに訊ねると、クロウリーは大きくうなづいた。
「もちろんですとも。
彼は私の友人でしたから。」
「てか、同じ名前なだけでそんな扱い受けるとか、リドル寮長が可哀想じゃん」
眉を寄せ、複雑そうな顔をしたエースがボソリとこぼす。
「確かに…本人が捨てた名ならなおさらだ」
それに同調するかのようにデュースがうんうん、と複雑そうな顔でうなづいている。
あの時のスノーの顔を、デュースは覚えていた。
困ったような、切なそうな顔を。
自分たちにとても優しいスノーがあそこまでキッパリと拒絶した事に驚くと同時に、なぜそこまで、という思いが渦巻いた。
「僕は… スノーからその人の名を何度も聞いたことがあります。
でもどんな人かは知らない。」
リドルは考え込むような難しい顔で、言葉を選びつつクロウリーを見た。
知っているなら教えて欲しい、という思いを込めて。
「そうですねぇ…」
仮面越しにクロウリーが遠い目をしたのがわかる。
「私が知る中で、最も偉大な魔法使いであり、最も優秀な研究者でした。
政治的思考ややり方に難はありましたけどね。」
"俺様がこの世界を制したら、クロウリー、お前の所に休暇で行こうじゃないか"
"ヴォルデモート卿、あなたをそんな事を言って…
異世界に渡るのがどれだけ大変かわかっているでしょう"
"俺様を誰だと思っている。
このヴォルデモート卿にできないことなどない"
彼は言葉通り、異世界に渡る方法を見つけ出した。
ただ、彼自身が来ることは叶わない事だったが。
クロウリーは緩く首を振った。
「私も、彼が亡くなったことには相当なショックを受けました。
ずっとそばで彼を支えてきたスノーくんは…相当でしょうね。」