それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第7章 核心には届かない
切ない顔で真っ直ぐ自分を見つめるリドルに、スノーはふむ、と思案した。
リドルはオーバーブロットを止める仕事だと思ったに違いない。
リドルがオーバーブロットした時のように、その暴走を止める仕事だと。
だから毎回ハードな戦闘をこなしている、危ない、と思ったに違いない。
嘘こそついてはいないが、あえて事実を勘違いするような言い回しを選んだのだから、ある意味当然ではある。
察しがよくてオーバーブロットの成れの果てを知っているトレイとケイトにはバレたものの、リドルにバレなかったのは上手くいったのではなかろうか。
実際はオーバーブロットから化け物に成り果てた者を殺すだけ、あんな戦闘になることも少なく、実際は死の呪文を放つだけだ。
稀に戦闘になることもあるが、殺す事が目的の戦闘は戻すための戦闘よりも遥かにラクなのである。
もっとも、元々人であったものを殺す、ということは一般的には道徳観や倫理観から負担が大きい仕事、という位置付けにはなるのだろうが。
ヴォルデモート卿のそばで、知り合いにでも躊躇なく死の呪文を放っていたスノーにとって、見知らぬ人間が成り果てた化け物を殺すことなど、なんの躊躇いもない。
価値観が全く違うのだから致し方ないことだ。
「スノー…僕、きみの事を何も知らなかったんだね。
でも僕は君の事を大切な友人だと思っている。
君の色んな事をこれから知っていきたいと思う。
だから教えて欲しい。」
真っ直ぐに自分を見つめるリドルが何を言いたいのか、スノーにはすぐにわかってしまった。
言葉を発するリドルの唇が、いやにゆっくりに見えた。
「なぜスノーは…
僕の事をローズハート先輩って呼ぶんだい?」