第22章 月と馬
「おれさ、そんな我慢強くはないけど。
理解とか考察とか、そういうのはできると思う。
辿り着くまでの段階でいつもイライラはするけど、まぁ、冷たいだけかも」
『………』
「ここで怒れたりした方がいいのかもしれないけど、
別に、そんな感じでもないんだよね。
あ、だからってまたキスしていいよって言ってるわけじゃないよ。
されるのは何歩か譲ってしょうがないにしても、キスするのはダメ。
ダメっていうか、んー、気をつけて。 …って気をつけようがないのも知ってるんだけど」
『……あ、でも』
「繰り返してるし、エスカレートしてるし、甘えてるみたいでいや?」
『…んー、研磨くんのほんとの気持ちが聞きたい。
あ、嘘ついてるとは思ってない。研磨くんの言葉はいつも本音だと思うから』
「…ほんとの気持ち? …気持ちっていうか、じゃあどうしたいって聞かれたら、
すぐにでもキスしたいし、痕もつけたいし、繋がりたい。
そういう独占欲みたいなのはすごい出てくる」
『………』
「顔真っ赤。笑 でもそれをちゃんと話すまえにしちゃったらなんか違うしって思うから、
ちょっと考えて、すっごいいっぱい喋ってる」
『うん。ありがとう。
ほんと言うとわたしももうずっとキスしたいし、もっともっとしたい』
「意外とそれで解決するのかな」
『…え、でもそれってちょっと』
「だってエッチするとすごい、全部伝わってくるから」
「コラ!」
クロが起きた
「なんか大事な話始まってたから寝たふりしてりゃ、最後はそこかよ!
つーか、おい!乗り過ごしてんじゃねーか…」
「あ。」
『あ。』
もうおれらの降りる駅、だいぶ通り過ぎてた。
「次で降りて、引き返そ。 …でもさ、穂波はさそんな器用じゃないから、
キスとエッチに全部出ると思うんだよね」
「へぇ〜 俺もそれ知りたいからいまから3人でしてみるー?」
「…クロ」
「いやそんな風にこられても。どうやって返事するのが正しいんですかー?」
「クロに喋ってないから」
「はーい」
「…あ、別に疑ってて、それで確かめたいわけじゃないからね。
ただ、おれのってしたいだけ」
『…ん』