第22章 月と馬
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みんなでBBQのもろもろを片付けて、
烏野高校を見送る。
BBQや練習の後に、みんなそれぞれとあいさつができた。
蛍くんは、なんだか、目が優しくてドキッとしてしまった。
音駒で初めてみた時は、温度を感じにくい目だなって思ったのに。
そしてケロッといつもの空気のまま
耳元で「好きです」と言って荷物を手にみんなのとこに合流してった。
わたしは多分、頭から煙が出ていたと思う。
烏野のみんなを見送ったら、私たちもいよいよ帰る準備。
まとめてある荷物を各々バスに積んで、またねの挨拶。
「穂波ちゃん、お疲れさま。これ、本、俺が読んだあとだけど」
京治くんが本をくれた。
『…わ。これ気になってたけど読んだことないのだ。 嬉しい。 ありがとう』
「住所書いた紙も、入ってる。 葉書、楽しみにしてる」
『うん!もしかしたら葉書が着く前に、音駒で再会するかもだけど…笑』
「うん、なんでもいい。楽しみ」
『うん、じゃあ、またね。 ハグしてもいい?』
1週間も一緒にいると、別れる際にハグしたくなる。
烏野の仁花ちゃんや、潔子さん、山口くんそれから夕くんとハグをした。
蛍くんは耳元で囁かれたから、そんな余裕なくなった。
翔陽くんは、研磨くんに止められた。
「あぁ、うん。喜んで、ちょっと汗臭いけど」
ぎゅーっと思い切りハグをする。
1週間ありがとう。
次の再会まで、健やかに良い日々を!
そんな気持ちをハグに込める。
『じゃあまたね、京治くん』
「あぁ、うん。 また」
光太郎くんや雪絵さん、かおりさん、恵里さん、真子さん。
ぎゅっとハグをして、またねをしてバスに乗り込む。
バスの中ではみんなぐっすり。
わたしは考え事をして眠らずにいた。
研磨くんが隣にいて、わたしの身体にもたれてきてて。
とても幸せだった。
わたしの好きな人は研磨くん。
しみじみと日常へと帰ってくようなバスの時間だった。