第22章 月と馬
ー穂波sideー
…研磨くんはいつも、話せばいいと思うって言ってくれる。
話すべきなのかもしれない。わかんない。
やっぱぐるぐるして、それからまた落ち着く。の繰り返し。
考えだすとごちゃごちゃとしてくるので、
もう、蛍くんに言われた通りにすることにした。
この件に関して、今は。
…別れる覚悟。 …傷付ける覚悟。
そんなの一欠片もない。
蛍くんにも失礼だとか、考え出すともっとぐちゃぐちゃになる。
でも、蛍くんはそれでいいと言った。
言われたことは信じたい。
…でもやっぱり、話そうと思う。
言わないのってなんか、やっぱりおかしい。
けど今じゃないのかなって。
翔陽くんたちと楽しそうに過ごしてるし。
そう決めてしまえば、とりあえず今は今を。
ごちゃごちゃしたことは後回しにして、
今一番いたい場所にいく。
研磨くんのとなりにいたい。
翔陽くんとリエーフくんと楽しそうにしてる研磨くんの隣にちょこっと座る。
あぁ…やっぱりわたしの場所はここだぁってなる。
「穂波?どうしたの、一人で頷いてるけど」
『…ここがわたしの場所だぁって。しみじみしてた』
「…ん。 …なんかあった?」
『…ん。ちょっと。でも後で話す』
「ん。今話した方がラクじゃない?…おれはどっちでもいいけど」
『…あぁ、うん。でも、2人の時がいいし。いまは翔陽くんといる研磨くんのそばにいたい』
「…ん」
翔陽くんはいつも太陽みたいで暖かい。
リエーフくんもちょっと違うんだけど似てる。
研磨くんはいつも、いつも研磨くんで、
この3人の空気はちぐはぐなようでいてすごく安心する。
…というかちぐはぐが、ちぐはぐなままで一緒にいれることがすごくいいんだ。
だから、こんなに心地いいんだ。って思った。