第22章 月と馬
ー月島sideー
泣いたり、キョドキョドしたり、顔真っ赤にしたり…
と、思ったら真っ直ぐ目を見て わかった って言ったり。
…ほんと、何なのこの人。
それに、僕のこと信じすぎでしょ。
「…そうだ、この後旅行行くって言ってたね。どこ行くの?」
『あっ えっとね、タヒチだよ』
「あぁ、お兄さんのツアー?」
『そう!よく覚えてるね。ありがとう』
「…いつから行くの?」
『んっと、来週の火曜日のフライトで、月末の合宿までには帰ってくる。
ダンスのレッスン受けたり、サーフィンしたり、ツアー見たりしてくるよ』
「…ねぇ、僕たちもう付き合っちゃう?」
『…うん、そうだよね、 …へ? ん?今なんて言った?』
「土曜日のクラスはどうするのって」
『あ、土曜日のことすごい考えたんだけど、
自分のスキルアップにもつながるし一回は休講することにした。
1週分は他の曜日に振り替える。
…そうだ。また合宿の時、土曜日に一回抜けることになる』
「…あぁ、そういえばあの時校門にいた背の高い人は誰?」
…今思えばあの時から好きだったってことか。
『へっ?ツトムくん?そっか、ちょうど外歩いてたのかな?』
「うん、山口と」
『ツトムくんは家族ぐるみの友達。カメラマンの卵。
お父さんの弟子でもあって、レッスン教えてるスタジオが経営してるカフェのスタッフ』
「…なるほどね」
『最近すごいお兄ちゃんぽさが出てきた』
「…へぇ。もう別に浮気相手でもいいかも」
『…ん?ツトムくんのこと? …へ?』
「え?」
『え?』
「…え?」
『………』
「少し、はやめに歩こうか。そろそろ朝食食べないと」
『あ、そっか。うん』
それから、一緒に学食に向かって山口のいる席に合流した。
穂波さんが山口と仲良く話してると、なぜかホッとする。
自分の幼馴染と好きな人が仲良いっていうのは、良いもの、らしい。
2番目とか浮気相手に好き好んでなる人の気が知れなかったけど、
さっき、それでも良いかもって思ってる自分がいた。
…まずい、そうとうハマってる。