第5章 夏
ー穂波sideー
研磨くんを見送ってから、
台所を片付けて、洗ったシーツを干して、研磨くんの練習着も一緒にもう一度洗濯機を回した。
その間に、頼まれていた庭の草を抜く。
バレー部のみんなへのお土産は
いろいろ考えた末、食べ物にした。
詰め合わせにしようと思って、
ドライバナナ、ドライパイナップル、
マカダミアナッツ(プレーンとコナコーヒーの甘いやつの二種類)
それからプロテイン入りの粉末スムージーを選んだ。
どれも個装になっているのを探して、
マーケットで見つけた無地の巾着に入れて一人ずつに渡そうと思っている。
まだその作業が終わっていなかったので、
草抜きを終え、洗濯物を干してから、袋詰めをする。
袋にはアルファベットのスタンプで名字を押して、
ハワイのマーケットで作家さんから買った葉っぱのモチーフのスタンプも押す。
インクの色は黒にしたし、このくらいなら、男の子でもいやじゃないかな…
いろいろを終えて、すこし早く出て、
バレー部の練習をどこかから覗こうと体育館の周りを歩いていたら、
渡り廊下のところにおじいちゃん猫みたいな顔をした優しそうな男性が立っていて、
おいでおいでと手招きをされた。
「…バレー部の練習を見にきたのかね?」
『あっ、はい。わたしもここの生徒で、以前黒尾さんが練習見においでと言ってくださったので、
すこし拝見ようかと…』
「…君が研磨の彼女か。…もう練習も終わるが、上のギャラリーでみていくといい」
『ありがとうございます。そうさせていただきます』
ギャラリーのところから覗いていると、
どうやら先程の男性は監督の方のようだった。
見守ってくれている感じが、少し話しただけの私にも伝わってきた。
この監督の元でプレーするのは、やりがいがありそうというか、
想像でしかないけど、安心して自分のやるべきことをできそうだなぁと思った。
練習が終わったようなので、下に降りて研磨くんと会って、
部室まで一緒に話しながら向かった。