第5章 夏
「……!おい研磨っ…研磨の…研磨の彼女来てるゾ!!!!!」
虎は女の子を意識しすぎて
まだあまり穂波と接点がなく、
穂波の名前を呼ばない。
「…うん。…ねぇ、なんかややこしいから穂波のこと名前で呼びなよ」
…研磨の彼女だとか、彼女さんだとか、
いちいちそうやって言われるのめんどくさいじゃん。
コーチに呼ばれ、猫又監督からの話を聞く。
解散になったとこで猫又監督に声をかけられた。
「研磨、いい子に出会えたんだなぁ」
………!
ナンデシッテルノサ
「…ぁ、ぇっと…うん」
いつもと同じ表情で座ってる猫又監督から逃げるようにして片付けに向かう。
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片付けが終わって体育館を出たところで穂波は待っていた。
『研磨くん、お疲れさま』
「…ん」
薄い青のすこしゆったりとしたデニムに黒いリブのタンクトップ…
足元はやっぱり黒いビーサン…
手にはレッスンの時にいつも持ってる鞄の他に風呂敷?と麦わら帽子を持ってる。
首筋には…おれのつけた赤い痕…
「上でみてたの?」
部室へと向かいながら話をする
『…うん、ちょっと早く来て、外からちらちら覗こうとしてたら、
優しい顔をした監督さん?に声をかけられて…』
「………」
『研磨の彼女かい?…もう終わるけど、上でみていきなさい。って言ってもらって…」
「………そか。あ、ちょっと部室ん中みてくるね」
『あ、うん。ほんとこれ、渡すだけだから…』
「…ん」