第22章 月と馬
ー月島sideー
いまの僕の立場だと、
昨日の影山との時間みたいなのを目撃すると嫉妬してしまう。
でも、孤爪さんの立場を想像して、
穂波さんにしっかり想われているという感覚があれば、
あんな風に、何でもいいよ、無理矢理じゃなければ。とか言えちゃうのかもしれない。
そんなことを考えながら話していたら、
いきなり穂波さんは泣き出した。
こどもみたいに泣きじゃくるので、
思わず抱きしめてしまう
しばらくそうしてると、
段々落ち着いてきたので話しかけてみる。
「…よく泣きますね。合宿で何回目ですか?」
『何で最近敬語なの〜?』
「はっ?」
『うぅぅぅー 前、蛍くんのことイライラさせちゃったでしょ。
キスマークつけて、僕と喋らない方がいいんじゃないのって…』
「…あぁ、ありましたね」
『だからさ、なんていうか、
蛍くんはわたしと研磨くんの関係を理解できないんだろうなって思ってたの。
別に理解してもらわなくたって幸せだからいいんだけど、蛍くんも大事な友達だし、
蛍くんのこと大好きだから、ちょっとやっぱ引っかかってたの。
そこにそんなこと言ってくれるから嬉しくって』
「…あぁ、そっか。そうだね、うん。いろいろ変化あったから。
いやちょっと、もっかいぶり返すのは勘弁して…」
『うぅぅぅ………』
腕の中で穂波さんが泣いてる。
悲しい涙じゃなくて良かった。
「穂波さん、聞いてもらえますか」
『…ん?』
「あ、いやこっちは見上げないでいいです。制御できなくなる」
『…?』
「…僕がもし、穂波さんのことを好きだと言っても、宮城で会ってくれますか」
『…もし……… うん、会うよ、蛍くんが辛くないなら』
「僕がもし、穂波さんのことを好きだと言っても、必要な時は抱きしめさせてくれますか」
『…もし……… うん?それは、わたしが聞きたいくらい。
蛍くんの腕の中は落ち着く。いい匂いするし。またお世話になるかもしれない』
「僕がもし、穂波さんのことを好きだと言っても、こんな風に仲良くしてくれますか」
『へ?当たり前じゃん。 馬鹿じゃないの、蛍くん』
「…ばっ馬鹿って……ちょっと」