第22章 月と馬

ー穂波sideー






「穂波さんは妬きもち妬きますか？」






今日の蛍くんからの質問。






『…それがねぇ、わかんないんだよねぇ』

「わかんない？妬いたことない？」

『いまの彼氏はね、まだあまり人と話さないから…』

「あぁ… 前に付き合ってた人とか好きだった人とかいる？」

『うん、いるよ。前に付き合ってた人はね、交友関係が広かったから、
女の子とも話してたし、２人で出掛けたりとかもあったよ。
でも妬きもちは妬かなかったかな。なんでだろうね、あ、彼のことはすごく好きだったよ』

「やっぱ、執着がないんですかね」

『ね、でも今はまた違うからさ。どうだろね』

「僕は妬きもち妬きます。昨日も妬きました」

『おぉっ？』

「…そんな目、キラキラさせて食いつかなくても。
期待してるようなことじゃないかもしれないですよ」

『…あぁ、ちょっと研磨くんと言うことが重なる時がある』

「………それは複雑ですけど。昨日影山と楽しそうにしてましたよね、夜」

『あぁ、うん。ストレッチしながらね、話してた。
影山くんはちょっと、うん。楽しかったよ、だいぶツボにはいった』

「………」

『へっ？それで妬きもちやいたの？　あっ、姉ちゃん取られたみたいな感じかぁ
あーそっちのヤキモチかぁ。あ、でもお兄ちゃん絡みでもわたしはヤキモチとかなかったかなぁ』

「…はぁ、ほんと鈍感ですよね。まぁ良いですけど」

『…？』

「まぁ、いいです。…妬きもちやかないから、こうやって僕といれるんですかね。
自分が嫌だったらできないですもんね」

『…そうだね。蛍くんだったら嫌？』

「嫌でしょうね。…でも穂波さんたち見てるとわからなくなります。
悔しいですけど。そんなの気にならないくらい、好かれてるんだなって思うので」

『………』

「ついてこれてます？」

『………』

「穂波さんが想ってる気持ちをちゃんと、受け取ってるように見えます。
ひとつも取り零すことなく。…だから、多少こうやって、他の男といても流せるのかな、と。
あとはまぁ、穂波さんの懐っこさがまた好きなんでしょうね。あー何言ってんだ僕」

『………』

「………」

『蛍くん〜〜〜』

「えっ……ちょっと」