第22章 月と馬
『あぁーおはよう〜。きゃー今日も綺麗。蛍くん、ベルちゃんだよ』
「ベルちゃん… あぁ、馬の名前」
「ねぇ、明日帰っちゃうんでしょ?明日の昼過ぎだったら乗れるよ」
『うそ!ほんとう?明日のお昼頃…うん。そっちに行けばいい?』
「…場所知らないでしょ。遠いし…迎えにくるよ。
もし、時間になっても来なかったらベルに乗って帰ればいいだけだし」
『ほんと?嬉しい〜!何時ごろかな?』
「13:00くらいかなぁ」
『わかったぁ。あしたBBQだからきっと大丈夫。きっと来る!』
「うん。じゃあ、きっとまた明日。彼も来る?」
『蛍くん、どうする?』
「…あ、ん?彼? あぁ、彼、か……」
『…?』
「いいや、ベルの彼氏も連れてくるよ。
もし彼が来なくても、ベルとデートできて喜ぶし。
じゃあ、また明日ね!」
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「随分、仲良いんですね」
『カチッとくる時はカチッとくるよねぇ』
「2人とも連絡先交換しとこう、とか言い出さない辺りも似てますね」
『…ほんとだね。そういわれればそうだね』
「彼っていうのは…」
『…?』
「まぁ、いいです。えっと、いま携帯持ってないんですよね?
…じゃあ明日、交換しましょう」
『うん、了解。少し歩く?校舎に向かってでも』
「あ、はい」
『…じゃあ、質問しちゃおうかな〜
うーん…あ、じゃあわたしの魅力を10個… はやめとこ。笑 5個教えてください』
「10個でいいですよ。10個言います」
『あら』
「ぶっとんでる割にしつこくないとこ」
『…あれ?笑 若干の毒が…』
「馬鹿みたいなのに意外と賢いとこ』
『…笑 おやおや〜?』
「敏感なのか鈍感なのかわかんないとこ』
『おーい蛍くーん 笑』
「料理がうまいとこ、自立した感じがするとこ」
『わーい』
「笑顔がとても綺麗なとこ、健康的なとこ、所作が綺麗
唇が柔らかいとこ、抱きしめたくなるとこ…」
『あれっ えっ ちょっと待って追いつかないぞ…』
「まだ言えますけど。 身体の線が綺麗、色っぽ…」
『あぁ、ちょっと待って。わたし、取り残されています!』
えっと、蛍くんなんて言ってたっけ…
毒入りから急に毒なしが勢いよくきて、全然ついていけなかった