第21章 スイカ
『けーんまくんっ』
自主練を終えた部員がいる中、
穂波が楽しそうに呼んでくる。
クロとリエーフはいない。
あの2人はここずっと遅くまでやってる。
ていうかその6人のうち、
クロと翔陽以外穂波のこと好きっぽいって…
似たもの同士には見えないけど、そうなのかな。
…ふ 笑
「サーブ練習どうだった?」
『うん、面白かった。ほんと、技って感じだね。
一人でやることなんだもんなぁ、って思いながらみてた』
「…ん。 1人でやってた?」
『ううん、3人だったよ。サーブ2人とリベロの夕くん』
「…あぁ。 …ねぇ、昨日、夜のこと何も覚えてない?」
『うん、なーんにも覚えてない。ごめんね、眠りこけちゃって。
あ、寝る前のことはちゃんと覚えてるよ。お話も』
「いや、寝たのはおれも一緒だから。…月島、大丈夫だったかなって」
『とんだ迷惑…って言われたよ。笑』
「…ん、まぁ、そうだよね」
『あ、今朝、蛍くんと話しててスノボの話になってね』
「うん」
『宮城に行った時に一緒に滑ろうって言ったの』
「うん」
『そしたら、博物館も連れてってくれるって』
…んーと、それはデートになるんじゃ?
「…じゃあ、連絡先交換しなきゃだね」
『へっ?あぁ、そっか。あーそっかぁ、こんな風に会えるわけじゃないかぁ。
んー、そうなってくるとなんかちょっと違うなぁ
やっぱ旅の勢いみたいな会話しちゃってるのかなぁ…
あ、でも夕くんと今日さ………』
烏野のリベロと、世界のどこかでサーフィンして山行って
乾杯しようって約束したって。
でも連絡先を交換しましょうとかならなかった、
ならないのがよくない?
やっぱそのくらいの再会をした時に連絡先って交換するかもしれない、くらいのものなんだよ。
って、よくわかんないけど、連絡先について熱弁してた。
こんだけコミュニケーション能力がある上、
いろんな国に行ってて規模も大きいくせに
カズマとか周平とか、そういう実際よく連絡を取る人ととしか
基本交換する必要がないって心から思ってるのがおもしろい。
オーストラリアのサーファーの友達とは小さい頃からずっと手紙だけでやりとりしてて、
2年前にやっとSNSでやりとりするようになったって言ってたもんな、とか。