第21章 スイカ
ー穂波sideー
練習が終わった。
今日から日中のペナルティは、フライングコート一周になった。
昨晩の主将会議で決まったらしい。
翔陽くん、フライング?ってのが前に音駒で見た時より
うまくなってる気がする。
それに音駒は烏野に全勝中とは言え、点差はだんだん縮まってきてる。
すごいな、まだここに来て4日なのに。
どんどん進化してく。
0歳児みたいなチームだな、って思う。
成長が著しくって、わたしみたいな素人にもわかる。
ボトルを洗ってビブスを干して
山口くんのサーブ練習を見物させてもらう。
山口くんは今は、
ピンチサーバーっていう役割を目指してるんだって。
ピンチサーバーについて犬岡くんに聞いたけど、
想像するだけでゾクゾクするし、すごくかっこいい。
それに、練習する山口くんの眼はすごく、真剣だ。
旭さんも一緒にサーブ練習をしてる。
夕くんがコートの反対側にいて、レシーブしてる。
わたしはボールを拾いながら、見物させてもらった。
・
・
・
西谷「なぁなんで音駒の自主練を見にいかないんだ?」
『ジャンプフローターサーブの練習ってどんななんだろうって』
西谷「………」
『単純すぎてごめん。 あと、山口くんのバレーが見てみたかった』
西谷「単純上等!わかりやすくていいじゃん!」
『…ふふ。 旭さんも夕くんもみれてラッキー』
旭「穂波ちゃんがマネージャーにならないのには何か理由があるの?」
『あー、わたし朝も放課後も週末もこういう学校の休みの時期も、普段からいろいろやってて。
だからもう、単純に、わたしには務まらないっていう』
旭「…朝? あーちょっと待って当てたい」
西谷「サーフィンだろ!菅原さんが言ってた!」
旭「あぁ…西谷… じゃあ放課後は……」
山口「あっ」
旭「あっ 山口ちょっと待って 俺にも回答権をくれ…」
山口「あ、いや週末です。週末ならいいですか?」
旭「あ、ああ… すまん。いいよ」
山口「土曜日にフラダンス教えてるって谷地さんから聞いたよ」
『うん、土曜は教えてる。朝はサーフィン。 どっちも正解〜
よく学校に遅刻するっていう。笑』
旭「土曜はってことは、平日放課後は習ってるってことかな?」
『大正解〜 って、何これ 笑』