第21章 スイカ

ー月島sideー




『…なんかわたし、蛍くんに懐いてもらってるような気になってたんだけど』

「…はい？」

『いまの会話、どうみてもわたしが蛍くんに懐いてるよね』

「…そうでしたか？」

『一緒にいこう！って何度も言ってた気がする』

「…まぁ、確かに」

『蛍くんって意外と流されやすい？意外とってのも変だけど』

「………」

『押しに弱い、というか…うーんうまく言えないけど』

「黒尾さんたちの自主練とか、まぁ確かに最初は押されましたけど、
穂波さんに懐いてるのも懐かれたいのも別に、流されてるわけじゃないです」

『あっ、そうだよね。っていうか、わたし言葉の使い方間違えたかも。ごめん
ん？　えーっと　……懐かれたい？』

「…僕、そんなこと言いましたっけ？」

『あれ？聞き間違いか　笑』

「好きです」

『はい。　…ん？』

「会って数日の人にスノボ行こうだの、遊ぼうだのいわれたら普通、僕は断ります。
断るどころか、完全シャットアウトです」

『ドシャット！』

「穂波さんとは、行けるなら是非って思いますよ。懐いてるんで」

『…わぁ、それは嬉しい。ありがとう。
　…あれ？　それで、さっき蛍くんは何を好きって言ったの？』

「…はい？　僕、そんなこと言いましたっけ？」

『あれ？またも聞き違いか。笑　蛍くんの頭の回転についていけずショート起こしてるかな。笑』





…おもしろ。笑
シラを切ったら、普通に僕のこと信じて疑わない。
やっぱ、執着がないんだろうな、大抵のことに。
でもだからって、粗雑なわけでもなく、丁寧だ。
一つ一つ。






『あぁ、つい話しちゃうね。　…これって質問のカウントは１？
あ、わたしまだ質問してない。　でももう、いかなきゃ』

「…そうですね。だから、あと３つずつですね」

『オーケー。今日４日目だもんね。きっと、コンプリートできるね！
あと３つずつしたら、お互いのことだいぶ知れちゃうね』





…だからなんで、そんな可愛い顔して笑うかな。

昨日の彼氏との幸せそうな姿を見ても、
夢の中でも彼氏を想ってる様を見ても。

気持ちに変化がないどころか、どんどん深みにはまってく。
だからって、その先に不幸な自分がいるとも思えない。
何これ。