第5章 夏
『あ、研磨くん、水筒にお水入れとく?
………って!研磨くん!お弁当とか、てか、お家に連絡大丈夫だった?』
こんなに慌てて喋る穂波、初めて見た。
こんなことで慌ててる。
こういうのも、かわい…
「…あ、うん…ぇっと…連絡は大丈夫。今日の弁当も大丈夫。クロが持って来てくれる。
水筒、使ってみようかな…お願いする。」
『…うん。洗って入れとくね。…はっ!研磨くん、昨日のお弁当箱!出しておいて?
洗って夕方に持っていく。洗濯物もっ」
「……あ、うん。わかった。ありがとう」
8時を過ぎたので、穂波の家を出る。
『駅までお見送りもしたいけど、ここでにするね。
ほんとに道は大丈夫そう?』
「…ん」
朝、玄関で見送られるとか…
なんかやっぱり未来を想像しちゃうじゃん…
変なの、おれ。
『じゃあ、研磨くん、行ってらっしゃい!』
穂波は頬にキスしてきた。
「…ん。行ってくるね。ありがと。 …お返し」
唇にキスを返して、歩き出す。
…お風呂で何か言ってたな
アイム ゆあーず…
わたしは あなたの?
…ん?
そんなこと言ってたのか?
聞き間違えかもな、発音よくてわかんなかったんだきっと。
無事に駅までたどり着けて、
いつも部活に行くより一本早い電車に乗った。
乗ってから少ししたとこで、クロからメールが入る。
【いつもの時間に乗れそうかー?】
【一本早いの乗ってる】
ささっと返事を済ませて、ゲームをする。
……腰が痛い。
駅を出ていつものようにゲームしながら学校に向かう。
「よぉ、朝帰りくん」
後ろからクロが追いついてきたみたい。
「ほいこれ、着替えと弁当」
「…ん、ありがとう」
「………2人でゲームでもしてたわけ?」
「…してない」
「穂波ちゃん家はどうだった?」
「すごいかっこいい家だった。天井にファンがついてて」
「…そこがかっこいいわけ?」
「…そこもかっこいい」
「ふぅん……寝れた?」
「…うん、寝れた」
「………ま、いいわ。おいおいで」
「………」