第5章 夏
ー研磨side ー
シャワーから上がって、ソファで少しゆっくりしながら
クロと夜久くんにメールを返す。
【遅くなってごめん。ありがとう】
2人に同じメールを送った。
すぐに返事が返ってきて
クロ【おー、たっぷり聞かせてなぁ?】
夜久【それだけかよ!あとで聞かせろよ!コンビニでなんか奢れよ!】
………はぁ。
なんかちょっと腰痛いし…
穂波の作った朝食は、
手が込みすぎてなくて、でもちゃんと美味しくて最高だった。
こんなのささっと用意できるなんて、ほんと慣れてるなぁと思う。
「これ、なんの魚?」
『鮎。鮎の燻製。美味しいよっ』
「へぇ……ほんとだ、おいしい」
『お父さんの友達が川釣りにハマってて、岐阜まで行って釣ってきたの。
それを塩漬けして干したのを持ってきてくれて…
で、この間庭で一緒に燻製してた 笑』
「…へぇ。漬け物は?」
『それね、わたしのぬか床で漬けたやつなの。お母さんからぬか床少し分けてもらって、去年から挑戦してるんダ。
家を開けるときは冷蔵庫に入れたりしてるから小さくしかできないんだけど…』
「…すご。…美味しいよ」
本心で言ってるだけなんだけど、
昨日も今日も、美味しいと伝えると、
穂波はすごくかわいい顔で笑う…
ほんとうに花みたい…
「穂波は今日、何するの?」
『…そうだ、バレー部のみんなにね、お土産渡したいから終わる頃に部室に行ってもいいかな?』
「…ん、別にいいけど。…朝一緒に行く?」
…離れるのを少しでも遅らせたくて言ってみた
『それもすごく魅力的〜研磨くんとちょっとでも長く一緒に居たいッ
けど、今日は庭の草抜き頼まれてるし、洗濯とかいろいろ、やりたいから夕方に行くね。
△△駅でのレッスンだから、一緒に帰ろ』
「…ん」
もうすぐ家を出なきゃなのは残念だけど、なんかでも、これでいいやって思う。
それぞれやることやりながら、会えるときにちゃんと会えれば…
…なんかこんなこと、穂波が言ってた気がするな。
こういうとこがあるから、無理せず一緒にいられるのかも…