第5章 夏
乱れた呼吸を整えながら、
向かい合ってどちらからともなく
一度、深いキスをする。
唇を離し、見つめ合う。
なんて愛おしい時間…
『…I’m yours……』
小さく呟く
「……ん?」
『…ん?なんでもないよ』
「…ん」
『…ご飯用意するねっ、研磨くんは準備しながらゆっくりしててね。
あ、朝ごはん、何が良い?』
「…何でもいい、かな」
『…ほんとに?朝から何でも食べれる〜?』
「…いや、何でもは無理だけど。…多分穂波が作るんならなんでも…」
『…ん。わかったっ、じゃあお先ねっ』
浴室をでて、さっとワンピースを羽織る。
ちらっと鏡をみると、首筋に赤い研磨くんの印。
指でそっとなぞり、深呼吸をして、台所へ向かう。
6:35。
ささっとやって、7時には食べられるようにしよう。
すぐにお湯を沸かし始め、沸騰したら
昨日炊いたご飯を蒸籠で蒸して温め直す。そのあとはそのまま蒸し野菜をセットする。
卵を焼いて、グリルで鮎の燻製を炙る。
昨日の豚汁にはネギと豆腐、それから出汁を少し足しておいて、
ぬか床からきゅうりと大根を出すついでにぬかを混ぜる。
7:03
上出来。
ソファでiPhoneをいじっている研磨くんに声をかける
一緒に朝ごはんって幸せだな。
温め直したご飯と、蒸し野菜は蒸籠にいれたまま机に並べる。
他のものは一枚のお皿に盛り付けた。
納豆と梅干しも一応机に出しておく。
ご飯、豚汁、蒸し野菜(とうもろこし、かぼちゃ、大根)、
鯵の燻製、卵焼き、ぬか漬け(きゅうり、茄子)
「うわ、これさっき作ったの?」
『…ふふ、作ったのは卵焼きくらいであとは温めたり、炙ったり、切ったりしただけ。笑』
「…すご。…動いたからかな…いつもよりお腹空いてる。ありがとう。…いただきます」
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美味しそうに食べてもらえて嬉しい。
なんて幸せな朝なんだろう…