第21章 スイカ
ー穂波sideー
蛍くんと山口くんの関係って見ていてなんか可愛いな。
どんな出会いだったんだろ。
今度山口くんに聞いてみよっと。
洗濯物を干し終えて、食堂に向かう。
「穂波ちゃん、おはよう」
食堂へと続く廊下を歩いていると、
京治くんに声をかけられる。
『おはよう、京治くん。 あれ、今から?』
「うん、本に没頭してしまって。穂波ちゃんも今から?」
『うん、今日起きれなくって。
そんなお腹も空いてなかったから先に洗濯してた』
「そっか。毎日天気がいいから、洗濯も気持ちよさそうだね」
『うん。京治くんも洗濯するんだね』
「たまにだけど、まぁ、するかな」
一緒のテーブルで朝食をとる。
「答えたくなければ答えなくてもいいんだけど… 目、どうしたの?泣いた?」
『あぁ、そうなの。 やっぱまだ腫れてるよね…笑』
「………」
『嬉し涙というか、ほっとした涙というか』
「そっか、それならよかった」
『うん、心配いらないよ。気にかけてくれてありがとう。
自主練、蛍くんも一緒にしたんだね』
「あぁ、うん。木兎さんと黒尾さんにね、質問があったみたいで。
その質問に答えた代わりにブロック飛ぶように仕向けられてたよ。
でもやっぱりスパイク練習にはブロックがないと意味ないから、助かる。
木兎さんのスパイク練習は際限ないから大変だろうけど…」
『ブロックの練習にもなるもんね? …だって、光太郎くんのスパイクって本当すごいもんね。
…よかったね、蛍くんもみんなも』
「穂波ちゃんは、木兎さんのバレー好き?」
『うん!どの学校の、どの選手もみんなすごいなぁって思うけど、
光太郎くんは別枠っていうか、引き込む力がすごいなぁって思う。
技術とかはわかんないんだけどすごいなぁって』
「俺もさ、中学の時に木兎さんの試合を見て…そうだね、引き込まれた。
スターだって思った …んだよね」
『うんうん。 わたしもそれ思ったよ。 スターだって。 …バレーしてるの見る前から』