第21章 スイカ
ー研磨sideー
よかった。
子どもみたいに穂波が泣き喚きだすから、
おれはちょっと挙動不審になっちゃったけど。
もう落ち着いたみたいで、
真っ赤な目元と潤んだ瞳、それから鼻声を除けば
いつも通りの穂波だ。
「…でもさ。もう一個気になることできたんだけど聞いていい?」
『うん』
「あ、歩きながらにしよっか。お風呂のセット持ってきたら?」
『うん。研磨くんも廊下まで一緒に来て』
「あぁ、うん、わかった」
・
・
・
教室の外で待ってると、
なんで目が赤いのかとか、
前も泣いてたよね、とか
賑やかな女子の声がする。
落ち着かないから、少し離れたとこに移動した。
少ししてから、お風呂セットをもって穂波が出てきた。
手を繋ぎながら歩き出す。
どがどがっ
「ちょっと英里ちゃん大丈夫!?」
「しぃぃぃーーー覗き見バレちゃう〜」
後ろでなんかいろいろ聞こえるけど、
こういうはのもう、慣れた。
穂波といるときはもう、なんでもいい。
穂波が笑ってれば。
常時アイテム装備してる。
『…それで、なんだったかな?』
「あ、うん。 …穂波、そんなにさ、影山にやっちゃったことで自分を責めてたっぽいのに、
スイカの後もさっきも話してても普通だったでしょ。
だからおれ、あんな風に泣き出すほど自分を責めてたなんて全然わかんなかった。
なんでかなって。 穂波ってそんな取り繕える感じじゃないよね」
『あぁ、それはね… もー意味わかんないー!ってなって顔を洗ってたのね』
「あぁ、影山のとこからすごい速さで走っていったの見た」
『そうなの、走って水道のとこまでいって何度も何度も顔を洗ってたら、
いつのまにか蛍くんが水道の向こう側にいて…………』