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【ハイキュー】   “波長”   【孤爪研磨】

第21章 スイカ


ー穂波sideー





「穂波のとこに人が流れていくのはいっぱい見てきたけど、
なんか穂波が影山に吸い寄せられていってる感じがしたから」






…おぉ、流石の鋭い観察眼。
隠すつもりもなかったし、
わたしもあと回しにせず、すっきりしたかったから丁度いい。






『お布団の上に座ってもいい?』

「うん」






布団に腰掛けさせてもらって…
いつものように何も纏まっていないけれど…







『ちょっとまた無意識というと自分に対して無責任でがっかりしてくるけど…
無意識のうちに、影山くんのそばに行って指を触ってた』

「………」

『音駒に来てた時から指が綺麗だなぁっておもってて、
今日たまたまそばでスイカを食べてて… 気付いたら』

「………」

『あっえっと、どうでもいいことかもしれないけど、
でもこれえっと、大事で、スイカの汁が指に垂れてて、
それが相まってすごく綺麗だった。
赤く濁った果汁と色白の綺麗な指と。
多分、指だけだったらああはなってなかったと思う』



「…ん。 それで?」

『へっ? えっと あれ? んーと、わたしもここまで話して研磨くんに聞きたかったの』

「なにを?」

『いまの聞いて、研磨くんはどう思った?』



「…別に、どうも。おれにはありえないけど穂波には普通にあり得ることだなって」

『へっ 嘘。 それだけ?』

「…なんで?」

『わたし、心底自分で自分が気持ち悪くなったの』

「え」

『もう、何やってんだろうって。馬鹿じゃないの、って』

「…なんで?」

『だって、研磨くんとおしゃべりするきっかけとおんなじようなことしてたから自分が』

「あぁ。 …それはまぁ、行動自体はたしかに、そうだね」

『………』

「でもおれ、あの時他の誰かに同じことされたら多分すごい嫌だったし」

『………』

「えーっと………穂波もおれだったから、
こう、いまこうしていられるんじゃないかなって思うというか、
思ってるってか思いたい」

『………?』

「その行動自体が、感情に繋がってるわけじゃないでしょ」

『………』

「おれたちのきっかけは確かにそれだったけど、
でも今思えばそれじゃないといけなかったわけじゃないし…」

『………』










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