第21章 スイカ
ー月島sideー
いきなり抱きしめて、
いきなりいろいろ捲し立てた。
そうせずにはいられなかった。
穂波さんは、僕の腕の中で
その間じっと受け止めてくれていた。
人に見られるといろいろ厄介だから、
身体を離しその場を去る。
『………ちょっと、待って、蛍くん!』
…立ち止まり、振り返る。
声はもう、いつもの声のように感じた。
「はい、なんですか」
『ありがとう。 …蛍くんは、やっぱり優しいね』
ふんわりと優しく微笑む。
花が舞い散っているような心地がする。
無理をしていない、この笑顔。この人の笑顔は、本当に綺麗だ。
「…その顔。
…ほんっと、馬鹿じゃないの、きみ」
さっきはあんなに顔、引き攣らせてたのに。
無理やり笑ってたのに。
何がどうなって、そんなに、自然に。
僕が、話したことが影響したの?
…馬鹿じゃないの、自惚れにも程がある。
でももうなんだっていい。
これに関しては。
笑っていてくれたら、それでいい。