第21章 スイカ
「そっかぁ、なんだぁ、ドキドキしちゃった」
『…ふふっ 英里さんは?英里さんはなにかドキドキ話ないんですか〜?
別に部活外でもいいですよ〜♡』
「えー、えっとねぇ………」
そんな風にだいぶ長閑な、森然での食堂タイム。
しまいには、
「英里ちゃん、穂波ちゃん、おかわり落ち着いてるから
あんたたちも食べちゃいなさい。そしたら早く動けるでしょう」
って、言われて早々朝食にありついてしまう。
大きなものに抱かれて揺られてるような安心感。
朝食を食べ終え、ある程度片付けが済むと、
もう行くように促される。
練習開始までにまだ時間があるので、
校舎へ走って戻って、
部員の寝巻きとわたしの洗濯物をまとめて持って降りて洗濯室に向かった。
今日の昼食は当番じゃないから、
その間に干せるようにタイマーをかけておく。
よし、練習にいこう。
わたしは今日もスコアをとる係。
・
・
・
・
・
…あああああああああ…………
やってしまった………
…どうしよう。
冷たい水で何度も何度も顔を洗う。
「…ちょっと、何狂ったみたいに顔洗ってるの?」
蛍くんの声がする。
顔を上げると水道の向こう側から肘をつきながら、
蛍くんがこっちをみてる。
「…え、なんでそんな怯えたような困惑したような顔してるわけ」