第21章 スイカ
ー研磨sideー
『研磨くんといる時間、…特にやっぱりこの、今さ。
…いまの話題に関してだよ? 今話してることに関してで言うとね…』
いきなりもじもじとし始めて、
次の言葉を言い渋ってる。
『特に、やっぱり、特に気持ちいいことを一緒にしてる時。
一緒に。繋がって、一つになって、研磨くんに溺れてるとき。ってね、
なんていうか、もっともっとって欲まみれなのかもしれないけど、
でも同時にすごく無欲っていうか、いや、無欲ってことはないか…』
「………」
『…あぁ、直接的に言わないようにするとなかなか』
「…あ、うん。でも大体分か………」
『研磨くんと1つになってるときに到達するエクスタシーは、なんか宇宙みたい』
「…はぁ、言っちゃった。誰もいないけど」
『無限に広がってて、もっともっと先へ行けて、何もかも飲み込んで、
でもすっごい孤独っていうか。んーと、ひとりぼっちの孤独じゃなくて、
2人だけしかいないっていう意味の孤独』
「………」
『研磨くんはわたしの運命の人だと思った』
「…は?」
『リエーフくんじゃないけど、運命です!運命の出会い!って』
「…え、今話してた話はそこに繋がるの?踊ってた時の話」
『…へ? それは、幸せだった。で一区切りしたの。
でもまぁ、これで一区切りでもいいか』
「…あー、ちょっとよくわかんないのに何でちょっとわかるんだろう」
いや正直ふわふわどころじゃない話なんだけど、
なんでちょっと分かるのさ
『あっ、でも、さっき言ったみたいに、これはその踊りに関してであって、
それから、特に、なだけであって…
研磨くんとの時間全部だからね。ほんとに。研磨くんの身体目的じゃないよ』
「…ぶッ 笑 …ちょっと穂波、もーいいよ。収拾つかない」
『…でも大事なことだから』
「…わかってるからそんなこと。 …ほんと、馬鹿じゃないの。笑」
『あー! そのセリフ…!』
「…これ結構、おれにも使えそう」
『だめだよー 研磨くんー ちょっとゾクゾクはするけどだめー』
踊りにまで、おれとの時間が影響してきてるってことなのかな。
それでしかも、もっと高みに行けたってこと?
…それは、まぁ、光栄かなとは思うけど。
やっぱふわふわしてて、全部はわかりきれないや。