第21章 スイカ
「…明日もあるし、今日はもう寝よっか」
『うん』
手を繋いで、ゆっくりと校内を歩く。
『…踊ってるとね、たまに身体がもっと大きなものと一つになる感じがする時があるの』
「…もっと大きなもの」
『…風とか空のもっと向こうにあるものとか』
「宇宙?」
『…っていうと、なんかヤバいやつっぽいでしょ。笑』
「…んー、人によっては。 穂波が言っててもそうは思わないけど」
『…ん。ありがとう。 …それでね、』
「うん」
『持ってかれるっていうか。 あの、チョープーの波の話じゃないんだけど、
あーこのまま粒子になって消えてくんだなぁ、みたいな。
水蒸気とかそう言う感じ。消えてくっていうか、どこかにはいるんだけど、ばらばらになるというか』
「………」
『そう言う感じがあるんだけど、今日はさ、その時にぐわぁぁぁぁって』
「………」
『…いや違うな …ぱぁぁぁんって』
「………」
『研磨くんと1つになってるときの愛おしさとか満たされてる感じとかが湧いてきた』
「………」
『思い出した、ともちょっと違って』
「………」
『ちゃあんともう、あるの。全部積もってわたしの中に残ってて。
それが、出てきたというか溢れてきたというか、何というか…』
「………」
『…それですっごく幸せだったよ』
「…それはすごく嬉しいけど。…踊りの妨げにはならなかったの?」
『…へ?』
「大きなものと一つになる感じって、おれにはよくわかんないけど、
多分シャーマニックなことっていうか。
みんながみんなできることじゃないんじゃないの。
そこでそっちに引っ張られていく過程で、おれとの時間みたいなものが出てくるっていうのは、
こっちの世界に引き戻す感じになるのかなって」
『えぇ、そんなことぜんっぜんないよ。すっごい高みにいけた気がしたよ』
「…………」
『こういうのがたまに起きるのはハワイとかビーチサイドばかりだったけど、
まさか山間の学校の敷地でおきるとは。って思った』
「…………」
『それに、今まで踊ってきた中で一番気持ちよかった。
その、研磨くんとの時間?じゃないけどそういうのが溢れてきた時が』