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【ハイキュー】   “波長”   【孤爪研磨】

第21章 スイカ







「…わからなくもないけど。」






全然違うのは承知の上で、
でもその、技を決めるとかそういう派手な動きではなく、
単調に見える動きの果てにある快感みたいなものは、
まだ掴めたことこそはないが、
漠然とそういうものがあるのではないかということは分かる。






『…ありがとう、蛍くん。ほんと優しい。 …よーし!」

「…は? ちょっと」








ほんと意味わかんない、この人。

いきなり坂を転がり落ちていった。
真っ直ぐに腕も足も伸ばして横になってすごい速さで。








『あははは………笑』








坂の麓で寝転がったまま、腹を抱えて笑い転げてる。







『蛍くんもやったらー? 急だから、すっごいぐわんぐわんなるよー! 
あー、おかしかったぁ…笑』

「いや絶対、やりませんから」







歩いて穂波さんのとこまで降りていく。

手を差し出すと、
今度は僕の手をとってくれた。

…起き上がるため、
ただそのために触れられたところが熱い。






…そのまま起き上がるかと思ったら
逆にぐいっと僕の腕を引っ張る。

不意にバランスを崩した僕は
穂波さんに覆いかぶさるようになっている。

そして、穂波さんの手のひらは僕の口を塞ぎ、
穂波さんは自身の手の甲に口付けている。








近すぎる距離で目が合い、
そしてそのままにやぁと穂波さんの目が弧を描く。








「…ちょっと、馬鹿じゃないの」

『…ふふ、仕返し。 …わたしもさっき、心臓飛び出るかと思ったんだから』








曲げた膝が僕の股にあたってるし。
…無意識なんだろうけど
心臓飛び出るどころか…

このままなんだってできちゃうし、
実行しちゃいそうになるよね。







「…学食閉まる前に行きますよ。 …あ。靴下片方見つかってないか」







立ち上がって、もう一度手を差し出す。

そりゃ僕は、理性で踏みとどまるけれど
この人こんなこと誰にでもするのだろうか。







『また、明日明るい時に探す。靴があるから大丈夫。ありがとう、蛍くん』

「…もうそれは何度も聞きました」










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