第21章 スイカ
ー穂波sideー
「うわ、規模でかっ」
だんだんと、蛍くんから溢れることばや表情が、綻んできた気がする。
自分で自分をいい意味でもわるい意味でも抑えているような印象が、
まだよくも知らずに言うのもおかしいけど、
そういう印象があったのだけど。
「…自然が好きなんだね。まぁ、イメージ通り」
『…イメージ?』
「なんでもない」
『…10個って意外と多いね。いろんなこと知れる。
あとまだ6個も聞いていいの?蛍くんのことたくさん知っちゃうね』
「別にやめてもいいですけど。…あれ、靴っぽくない?」
『…わ。ほんとだ』
「あははははッ……… ちょっと、ほんとおかしいんだけど穂波ちゃん 笑」
靴は、木の枝に引っかかってる。
そして蛍くんが穂波ちゃんって言った。
「あーおっかしい、これ絶対投げてるじゃん 笑」
『…………』
「はい、これで4分の2クリア」
結構高いかなってとこにあったんだけど、
蛍くんが腕を伸ばして軽々と取ってくれた。
「履いておけば?また無くされちゃ困るし… ぶっ 笑」
…ツボに入ってる。
まぁ、付き合わせちゃってるし、楽しんでもらえて何より。
『うん、でもなんか片っぽだけって変な感じしそうだからやめとく』
「まぁね… まぁなくしてもまた探せばいいだけだから……… って僕はそんなのごめんだけどね」
『あ、あっちもう一つ靴っぽいの落ちてるかも』
…グラウンドのフェンスの向こうに靴が落ちてる。
「あはははは…! もー無理なんですけど 笑 腹いてー 笑」
『…………』
「っていうかそもそもなんで靴下だけ遠くに一足あったわけ?
そっちも今考えるとおかしくなってくるんですけど………笑」
蛍くんはひーひー言ってる
『…ん。 ちょっと取ってくるね』
フェンスを掴んで、
よじ登ろうとしたわたしの肩を蛍くんの手が掴む。
「裸足じゃあぶないし、僕が行くよ。これで怪我とかされたらたまったもんじゃない」
そう言ってひょひょひょいっと登って
スタっと降りて、またこっちに戻ってくる。