第21章 スイカ
ー月島sideー
裸足でここで踊ってるってだけでも不可解なのに、
靴と靴下を落としてきて、
おまけにどこを通ってきたかわからないって…
やっぱ放っといて戻ればよかった。
…実際そうしようとしたのに、
何故か足を止めてしまうこの人の吸引力。みたいなもの
『月島くん、わたしのことが怖い?』
「…えぇ、まぁ。怖いです」
『…あぁ、正直。辛辣。笑』
「…とりあえず、広い方の道進みましょうか。
ここで立っててもしょうがないので」
『…あ、うん。 お願いします』
並んで歩き出す。
…ていうか、月明かりでこれ、探す気?
こっから先電気ついてないじゃん。
懐中電灯とか持ってきた方がいいでしょ絶対
「…いや、やっぱ………」
『…ねぇ、月島くん!』
「…はい、なんですか」
『質問しあいっこしよう。とりあえず、10個10個で20個! 一つずつ交互に』
「…なんのために」
『怖がられてるのは得体が知れないからかなって。いいですか?』
「…あぁ、まぁ。はい」
『じゃあ、月島くんの名前はなんですか?』
「けいです。蛍と書いてけいです」
『へぇ。素敵な名前。こんな夜にぴったりだね。あ、ちなみにわたしの名前は穂波です』
「………」
『………』
「………あ、僕が質問するんですね。
えっとじゃあ、穂波さんはどうして靴をなくしたんですか」
…ちょっと待って。
ものすごいペースに乗せられてるけど、僕。
『…それはですね。 それは…走りながら踊っていたからです』
その上、延々と質問し続けれそうな返事が返ってくる。
『蛍くん、って呼ぶね。蛍くんにはお兄ちゃんがいますか?』
「…はい、います」
『…やっぱり! なんか同じ匂いがしたんだ』
「…じゃあ、その穂波さんのお兄さんはおいくつですか?」
『えーっとね、22歳です。6歳差』
「…うわ」
『うわ?』
「…いや、歳の差が一緒だったので、気持ち悪いなって」
『気持ち悪いって…笑 あぁまぁそっか、怖いんだもんね』
「…それは、怖いか?って聞かれたのでそう答えただけですけど。
ていうかここどこですか。あれ、あそこ何か落ちてません?」