第21章 スイカ
それからすっごく気になるのが、烏野のセッターの子。
影山くん?だったかな。
とにかく綺麗だなと思う。
全てが。乱れてさえも綺麗。
指先なんて、遠目にみてもほわぁっとしちゃうほどの美しさ。
どの学校のどの選手も個性があって、自分の特性を理解してて…
っていう風に見えるけど、影山くんはなんというか…
そこすらも超えてるような。
…とはいえ、影山くんも何かを試しているようで、
プレー自体はうまくいっているわけではないみたいなのだけど。
それなのに、こんなに目を惹くっていうのはどういうことなんだろ。
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午前中のうちに音駒は一度だけ、裏山ダッシュをした。
息を切らしてそれぞれの格好でバテてるみんなにドリンクを渡してく。
バテてる姿にも個性があるんだから面白い。
お昼前に学食に行くとたくさんのおかずが出来上がってる。
大きなテーブルにまとめて置いてビュッフェみたいな感じ。
食堂もあって、お風呂もあるなんてなんだかホテルみたいな学校だな。
食堂の方に挨拶をして、できることをやっていく。
トレーや食器を列になる最初の方に並べたり、
出来上がったおかずを並べたり…
そうこうしてるうちに部員がちらほらとやってきた。
わたしと潔子さんはご飯をよそう係。
雪絵さんが隣でお味噌汁。
このごはんをよそうって作業も、
腕全体を使って大きな釜に入ったごはんを
しかもたくさん、しかも大人数よそっていくから、
なかなか筋肉を使う。
「穂波ちゃん、お疲れさま」
穏やかな声。
『京治くん、お疲れさまです。ご飯はどのくらい?』
「普通の大盛りで」
『…ふふ 了解』
大盛りにも色々あるもんね。
ここでの大盛りのスタンダードは、もはや大盛りではないもの。
普通に大盛りによそって、お茶碗を手渡す。
「…じゃあ、また」
微かに微笑んで、京治くんはお味噌汁の方へと流れていく。
「