第21章 スイカ
ー穂波sideー
「研磨さんっ 穂波さんっ もう着きますよ!」
前に座ってる犬岡くんが声をかけてくれて目が覚めた。
窓の外には山。長閑な風景。
『うわぁ…』
音駒のみんなとこんなとこに来てるなんて、新鮮。
しかも隣には研磨くんがいて、
移動中も今もずっと手を繋いでて…
どうしてもちょっと旅行気分がくすぐられちゃうな。
…遊びじゃない、遊びじゃない。
自分に言い聞かせる。
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森然高校はほんとうに大きかった。
大きいし、校舎も新しい。
「穂波ちゃーん!」
生川高校はもう来てるみたい。
英里さんが駆け寄ってきてくれる。
後ろに、真子さんも。
体育館に練習で使うものを置いて、
マネージャーの使う教室に案内してもらう。
それから校舎の案内。
食堂の場所とか、いっぱいある体育館とか。
負けた方のチームがダッシュで登るっていう裏山とか。
…急勾配。ここをダッシュか。
音駒が負けた時は、わたしはドリンクを持って上で待ってたらいいのかな。
…上には木が数本あって、木陰ができる。
うん、たしかに緑が多く、空気も澄んでて心地いい。
最近は海ばっかり、山も行っても海沿いの山ばかりだったから、
こういう感じの場所は久々。
お料理もしないし、音駒や他校の練習姿、
しっかりと見よう〜