第20章 banana pancakes
ー研磨sideー
駅まで穂波を見送ってきた。
雨の中穂波と歩くのって実はまだあんまりなかったから、新鮮だった。
それぞれ一つずつ傘さして歩いたけど
2人で1つの傘をさして歩く人の気持ちがなんとなく分かった。
…前は意味わかんないって思ってたけど。
穂波ん家に帰って、ソファでゲーム。
家の中はさっき煮込んでた料理のいい匂いがする。
それに穂波の残り香も。
穂波の匂いはほんのりしてるし、
混ざっても気持ち悪くならない。
…人口的なにおいじゃないからなのかな、とか。
ーピンポーンー
インターホンが鳴る。
…えー、どうしよ。
でも宅配便とかだったらな
「…はい」
「あれ?研磨?周平でーす」
画面に周平が映る
「…今開ける」
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「おっす、研磨久しぶり〜」
「…ん」
「…穂波は?」
「レッスン。花さんとこ」
「…あー、月曜か」
「………」
「…あ、おれ?俺が何で来たかか。割と近くで集まりがあってついでに来た」
「………」
「…あぁ、何しにってか。飯食いに。なんとなくだけど。…あれ、俺疑われてないよね?
おっちゃん達いないのも知らなかったし、そこはよろしく。…幼馴染あるあるってことで」
「…別に疑ってはないけど」
「…ちょっとは疑ってくれてもいいんだけどな〜笑」
「………」
「メシ食ってってもいい?だめ?」
「…それは、おれが決めることじゃないけど。おれは別に、どっちでも」
「研磨がなんか作んの?」
「…それができたらいいんだけど、ちょっと無理」
「…じゃあ一緒に作る?研磨が作ったら穂波喜ぶっしょ」
「………」
周平は台所に入ってく。
「米は予約されてるしー、ラタトゥイユが作ってあんね。
冷蔵庫には… 鶏肉が多分塩してあるな、これ。あとは作り置きがちらほら」
「………」
「何時に帰ってくるんだっけ」
「19時くらい」
「あと40分くらいか。 …どーする研磨、なんか作る?」
「…んー、じゃあ、まぁ、うん」
…周平、料理できるっぽいし 穂波はレッスン帰りなわけだし。
やってみてもいいかな、とか。