第20章 banana pancakes
ー研磨sideー
パリが舞台のアメリカ映画を観ることにしたらしい。
おれに確認をとって、字幕も英語にしてた
おれはソファに座ってそのままゲーム。
穂波はそのままラグに座ってソファにもたれかかるようにして観てる
途中でソファに寝転がってゲームしてたんだけど
寝転がると、穂波の横顔が見えるからついちょこちょこと見ちゃう。
そんなアップダウンがある感じじゃなさそうだけど
たまにケラケラ笑ったり、なんか英語っぽくoh...みたいなの小さく呟いたり
面白いのかな。ちらっとスクリーンをみると、映像の色が綺麗だった
ノスタルジックっていうのかな
ちょっと黄色っぽいフィルターがかかったような。
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映画が終わった。
『…ねぇ、研磨くんモネの絵、すごい大きいの出てきたよ』
「…え、そこ?」
ちらっと何度か映像に目をやっただけだけど
モネの話でも美術館の話でもなさそうだったし。
『…ん? それが一番印象に残った。
ストーリーっていうより、色とパリの街並みが面白かった』
「そっか。 …モネ?」
『うん、睡蓮のひとつみたい。オランジュリー美術館ってとこに飾ってあるんだって。
カーブを描いた壁に飾られてて、なんかすごそうだったよ。大きかったし』
「…笑 そっか」
『…研磨くんプリン食べる?甘いのはもういらない?』
「…食べる」
『うん!ちょっと持ってくるね』
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プリンには生クリームとさくらんぼ
それからメロンが一緒によそわれてた。
プリン・アラモード
紅茶と一緒に。
「…今日色々甘いね。 甘すぎないけど」
『ね、なんかね。 付き合ってくれてありがとう』
「…別に。 付き合ってるわけじゃない。食べたいから食べてるだけ。美味しいし」
『…ん』
甘さが絶妙だから、ぺろりと食べれる。
生クリームもくどくないし…
「穂波ってさ、メロンみたいだよね」
『…へ?』
「…それか、桃。 桃の方がしっくりくるけど。昨日メロン食べてて思った」
『…ほぅ』
「瑞々しくて、いい匂いがして、柔らかくて、甘くて、食べたくなる」
『…………』
「…食べてもいい? 穂波のこと」