第20章 banana pancakes
ー研磨sideー
〜〜〜♪
穂波が小さな声で歌うのが耳に入ってくる
まだ目は開けずにぼんやりとその声に耳を澄ます
…笑
バナナパンケーキって言った気がするけど気のせいかな。
英語だからわかんないや
目を開くと、
頬杖をついて小さく頭を揺らしながら歌ってる。
本も開いてるけど、開いたままで目線はどこか違うとこに向いてる。
…朝からいちいちかわいい
「…おはよ、穂波」
小さな歌声が止み、
こちらを向いてにっこりと微笑む。
今日もまた、花が開いた。
『研磨くん、おはよう』
吸い寄せられるように口付ける。
「雨、しっかり降るんだね」
『…ね。雨の音は落ち着く』
部屋の中も晴れた日よりずっと薄暗く、
でもそれで気が滅入るんじゃなくって、
心地いい。落ち着く。
全ての重心が下に向いてるような感じがする。
「…うん、わかるかも。この暗さもいい」
『…ね』
昨日、どこかいくのもいいのかなって思って
なんとなく水族館とか言ってみたけど…
無理に予定を決めなくてよかった
行きたくないわけじゃないけど、
雨の休みの1日の始まり、
家でごろごろごできるって選択肢が残ってるのはいい。
やっぱ穂波との時間は心地いい。
気が合う、とも違って。
なんていうのがしっくりくるんだろ…