第20章 banana pancakes
ー穂波sideー
いつからだろう。
研磨くんの言葉が一層ストレートになったのは。
もともと、ひねりがないというか、
考え方に捻りはあっても、表現には捻りがない。
そこにエネルギーを使うつもりはない、と言った感じの言葉選びというか。
ゲーム用語が時折出てくるのはこちらからすると、捻りともとれるけど
研磨くんからしたら、当たり前の言葉のチョイスなんだろうし。
春かな、いつかな。
それに拍車がかかったというか。
でも、だからって声色に熱が帯びるわけでもなくって、
いつも通りの淡々とした、冷静な声で。
それが余計に、わたしのどきどきを増大させる。
どこまでも研磨くんのままなのに、
そのままでこんなこと言ってくるなんて。という感じ。
その上、醸し出す色っぽさは
確実に日に日に増してる。
そしてそれに毎度毎度馬鹿みたいにどきどきして、
慣れるどころかどんどん、どきどきして
溺れていくみたいだった。
そこにきて、昨日のあれだ。
エッチしてるときの、
なぞの饒舌研磨くん。
ベラベラ饒舌なわけではないんだけど…
明らかに口数がいつもの倍以上あった気がする。
完全に溺れた。のまれた。
そして昨日のがピークでも、終止符でもなく、
普通に、ごく淡々と、いつもの調子で今日も研磨くんは、
ちょこちょこと ぶっ込んでくる。
「穂波となら外でしてみたいって思う」
「…まぁ、布団でも穂波としかしたくないし しないけど」
「…ん。 おれも、もうとっくに穂波に溺れてる」
これが、全部今日一日で…
この中の一つだけがあれば、
もうそれだけで1週間でも2週間でも1ヶ月でも持つっていうのに、
連発されては 心も頭も追いつかない。
そして全然。全然、わたしのこころがそれに慣れる気配はない。