第20章 banana pancakes
ー研磨sideー
鯵の南蛮漬け、豆腐と水菜のサラダ、小松菜と油揚げの煮浸し、
トマトのマリネ、糠漬け、豚汁、土鍋ごはん、
呼ばれてテーブルにいくと、机に並んでた。
いつも いつも 美味しそう …食べる前から美味しいのわかる
けど
「…あれ? なんか見覚えある」
『ふふふ〜 バレたかぁ』
「…ちょっと待って」
穂波はご飯をよそいながらにこにこ待ってくれる
「…初めて食べたごはんだ」
鯵の南蛮漬け、豚汁、豆腐のサラダには胡麻ドレッシング…
『…わぁ、すごい。嬉しい。 大正解。 ささ、食べてどうぞ』
「…ん、いただきます」
『はい、召し上がれ。
………クロさんに言われて、1年かぁって。日記をね、開いてみたの。
うちに初めて来てくれた日にちはまだ先、8月のことだけど、
でも、その日の献立にしようかなって。
八百屋さん、人参よりトマトが今日は良いよって言ってたからマリネはトマトになったり。
まるきし一緒ではないんだけどサ』
「…ん。トマトおいしいね」
『ね、おいしいね』
「日記、つけてるんだね」
『うん、毎日は続かないんだけど、書けるときは。
あ、日記って言っても、メモみたいな感じだけど。
献立みると結構その時のこと思い出すから、
食べたものは書く時はいつも書いてる』
「へぇ」
『…でも、頻繁に読み返すと 調子狂うから 全く読み返してなかったの。中3の秋から。
…だから、すごい久々に読み返した』
「…そっか。 ありがと」
『…?』
「たしかに食べてると思い出すね。これ違ったメニューだったら、また違う感じなんだろうな」
…あのとき、もう初っ端から、
おれの胃袋は掴まれていた。
鮮明に思い出せる。
一緒にとしを重ねてくって、こういうのが増えてくってことだよな。
思い出すもの。
…すご。