第20章 banana pancakes
ー穂波sideー
夏だからアイスが溶けるのが早い。
去年夏に来た時は
2人とも手ぶらだったから食べながら歩いたけど、
今日はスケボーと自転車があるから
まぁ、食べながらではあるけど、去年のときほどスムーズじゃなくって
慌ててなめたりしながら公園に着いた。
自転車を置いて、ベンチに腰掛ける。
『ふぅ、慌ただしかったね。笑』
「…穂波がね。 おれは口元にきたのを舐めるだけだから」
『そっか… それなら、まぁいっか』
研磨くんは去年ハワイのお土産に選んだ、
レンガ色のTシャツを着てくれてる。
ボトムは黒がいい感じに色褪せて墨色になってるグラミチハーパン。
研磨くんって、サイズ形がピンときたのがあったら
それを色違いとかで買うタイプかなって思う。
選ぶのめんどくさいし… みたいな。
実際研磨くんの私服を見ててもそんな感じがする。
…今日もかっこいい。
「…明日」
『…ん?』
「明日、どっか行く?」
『………』
「おれ、全然わかんないんだけど、出かける場所とか」
『あぁ、わたしも』
日本で彼氏いたことないし…
『…でも、わたしたちがその時行きたいとこに行ければいいよね。
美術館はまた行きたなって思うし。 …たしか明日は雨だから』
「…あ、そっか。雨か」
『うん。 …家でごろごろもいいかなぁとも思うし。
もちろん雨のお出かけも好きだから、ピンとくるとこがあれば』
「…雨。 …すいぞくかんとか?」
『水族館かぁ〜 いいね。うん』
「…行きたい?」
『研磨くんとならどこにでも行きたい』
「…ん」
『…でも、なんだろ。 もし研磨くんが明日水族館に行きたいっていうんじゃないなら、
明日決めるってのもいいかなぁとかも思う』
「………」
『あ、約束するのがいやなんじゃないよ』
「うん、わかるよ。 …そだね、明日決めよ。ごろごろしたいし」
『うん!』
水族館ももちろん、魅力的だし 約束も好き。
でもなんだか、雨の休日を過ごしたいままに過ごすってのも
いいなぁって思ってしまった。
もちろん、明日やっぱ行きたいな〜ってなったら行くだろうし。
朝から一緒にいれる特権だと思う。