第20章 banana pancakes
昼ごはんはざるうどんと豚とナスの冷しゃぶだった。
朝、食器の代わりにざるを使ったら
ざるうどんが食べたくなったんだって。
穂波っぽい。
ねぎ、紫蘇、茗荷、生姜、海苔、すりごま、天かす…
薬味がいろいろ並んでた。
「これさ、食べる方は涼しいけど、作る方は暑そうだね」
うどんとかっていっぱいのお湯で茹でそうだし、
しゃぶしゃぶもそうのかなって。
夏は冷たいものを食べることが多いけど
サラダとかじゃない限り作る方は火を使ってるんだよなって、なんとなく。
『…ん? うん、まぁ、そうだね。でもなんか結構快感だよ、夏の台所。私はすき』
快感って…
まぁ穂波らしいな、とも思う。
『けど、作る側のことも想像してくれてありがとう。
食べる側を想像して作るけど、その食べる人が作る側を想像してくれたら、なんか。
相思相愛だね、ふふ』
「…ん。 穂波はいつも楽しそうに台所にいるから、よく想像するよ」
『へっ そうなの。 そっか。 …ん、ありがとう』
なんかまたいきなりもじもじして照れてる。
かーわい。
ご飯の後、ソファのとこでのんびりする。
おれはゲーム。
穂波は台所でまたもなにやら火を使って何かをしてから
おれの隣にやってきて英語の本を読み始めた。
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気付いたら寝ちゃってたらしい。
座ってるのに疲れてきてソファにでれーんってしたのは覚えてる。
膝曲げて、穂波にあたらないようにして。
目が覚めると穂波の脚の上に
足を乗せてた。
穂波はずっと本、読んでたみたい。
「…寝てた。 …足ごめん」
『…お、起きた。 ううん、足はむしろ心地いい』
「…ん」
『お水飲む? 持ってくるね』
「…ん、ありがと」
おれの足をそっと下ろしてキッチンに向かった穂波のワンピースの紐は
解けちゃってて、またあの時みたいにぱっかりと背中が見えてる。
…水着のあともよく見える。