第20章 banana pancakes
ー研磨sideー
改札を抜けると、穂波が待ってた。
朝起きた時してたのは
ストレッチじゃなくってヨガだったらしく、
朝出る時に着てた服もなんかそういう服だった。
上も下もピタッとしてて、お臍が出てて。
今あそこで手を振ってる穂波は黒いワンピースを着てる。
あの、おれん家に初めて来たときに着てたやつ。
後ろがぱかって空いてて、結んでって言われてどきどきしたやつ。
黒いワンピース一枚に、黒いビーサン。
小さな財布とちょっとしたものが入るだけの葛で編まれたポシェット。
あ、一年経ったんだな。って
よくわかんないけど強く思った。
『研磨くん、おかえり。 部活お疲れさま』
「…ん。 あれ? 泣いた?」
『…ふふ、バレたか。 読んでた本、最後まで読んだら思わぬ展開で泣きじゃくってしまった』
「…そっか、ならいいけど」
穂波は自転車できてて、
かごには買い物したものが入った袋が入ってる。
かごには収まりきらなかったみたいで、
ハンドルにも一つ袋がぶら下がってる。
「そうだ、月末の合宿のことで話したいことあるから
レッスンない時に一度来てくれないかって、直井さんが。…水曜か木曜」
『…お、了解です。 月末、もうすぐだぁ、 1週間もすごいね。
はじめてのお泊まりだね、わたしたち。笑 …ふふ』
「…ん。森然、自然が多いから穂波、好きかもね。 …虫も多いけど」
『…埼玉、小さい頃キャンプにと行ったりしてた。
ここずっと海ばっかだから、山に囲まれるの楽しみだなァ…』
ほわん、とした顔してる。
…かわいい
家に着いたから、シャワー浴びてゲームしながらご飯ができるのを待つ。