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【ハイキュー】   “波長”   【孤爪研磨】

第20章 banana pancakes





『…タヒチでいつも開催されるのはチョープーってとこなんだけど、もはや壁』

「………」

『壁からのバレル… 樽。 波に覆われてね、波のチューブの中を滑るみたいにするんだけど。
…みてて気持ちいい。 綺麗で大きな波で、上手な人たちがすいすいとサーフィンするの』

「………」

『でも、怪我も多くてね。…海は、自然は、いつも綺麗で、それでいていつもちゃんとこわいけど…
チョープーの波はたまにほんと、みてるだけで動けなくなる感じがある。
綺麗で、こわくて、動き出せない、みたいな。
わたしがそこにいたら、そのままのまれてしまいたいって思うんじゃないかな、って思う』

「…え?」

『死に対する願望があるわけじゃないんだけど、
多分死んでもいいって思っちゃうと思う。一緒になりたいって』

「………」





穂波の知らない面をまた見た気がする。

いや、知ってた。どこかこういうエキセントリックなとこがあるとこ。
それが何に繋がってるのかはずっとわからなかったけど。

穂波は欲望に忠実でありながらも、ある意味無欲だから…






『ま、わたしがチョープーの海にでることなんてないんだけどね!』

「…ん」






去年の夏、海に一緒に行った時に感じた。

浜を歩いただけで、海には入ってないんだけど…
穂波は活きいきとしてて、それでいていつも以上に穏やかだった。
心の底が妙に静かになっているような感じ。

どっしりと力強くそこにいるのに
いつのまにか消えてしまいそうな儚さを感じた。

手を離したくない、と思った。





…周平、遊児、木兎さん、リエーフ、多分赤葦も。
あとはサッカー部とかまぁいろいろ。

穂波に近づいてくる男はいっぱいいるけど、
最初こそ情報を得るために気になったりするものの、
大した危惧は感じない。 

カズマに関してはまだ今のところって感じがあるけど…





もし、おれから穂波を連れてっていってしまう存在があるとしたら、
それは海なのかもしれない。

ぼんやりとそんなことを思う。










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