第20章 banana pancakes
…あー、なんかよくわかんないけど心地いい。
この勝手にくっつく感じと、揺れがいいのかな。
『ねぇ、研磨くん』
「…ん?」
『わたしもうね、タヒチ行こうかなって思ってる』
「…笑 はや」
『…ね。ずっとどうしようかなぁって思ってたのに単純だね』
「…ん。穂波は基本単純」
『………』
「…ふ 笑」
『研磨くんにはなんでもお見通しだね。わたし、恋しかったんだ研磨くんがずっとずっと』
「………」
『毎日学校で会ってても、恋しかったんだね。欲張りだなぁって思った』
「………」
『…で、こうやって …なんだろね。 だらだら?してるだけで、満たされてくというか』
「…ん」
『やっぱり魔法みたい』
「魔法?」
『…うん、研磨くんにだけ使える魔法』
「………」
『………』
「タヒチは行ったことある?」
『うん、何度か。いいとこだよ。大自然。波もいい。
今回はわたしもサーフボード持って行こうかな』
「…ん。スケボーと」
『うん!』
「アキくんがやるとこはどんな波?」
穂波の波の説明がすき。
…正直半分くらいはなに言ってるかよくわかんないんだけど、
でも波にも個性があるんだなってのがわかるし、
海に抱かれるっていう表現が少しだけ頭でなら理解できる気がする。
南アフリカのときは
とにかく長い。綺麗にすーーーーっとふわぁーーーーーとした波なんだよ。
ぶわぁーーーーの時もあるかな。でもすーっとしてるんだよね。
だった。
意味わかんないけど、でもなんとなくわかるからおもしろい。
それから、ビデオとかでその波を見てみると、
あぁ、確かに。って思うんだから不思議だ。
翔陽と話しててもたまにある。
初めて会った時、
烏野のセッターのことを「ウチのはもっとガァーーーッって感じの奴」って
身振りも交えて言ってて。
それでその数日後に練習試合で烏野のセッターをみて、
あぁ、このことか。って思った。