第20章 banana pancakes
ー研磨sideー
穂波が外に出て少ししてから
おれもテラスの外に出た。
『あ、研磨くん』
「………」
『ちょっとこっち、きてきて』
差し伸べられた手を握ると穂波は歩き出す。
『研磨くん、ここでちょっとごろごろしよう』
そう言うと、木と木にかけられたハンモックに腰掛ける。
「あれ、まえこんなのあったっけ」
隣に座りながら尋ねる。
『お兄ちゃんが設置してくれた。小さい時あったんだけど、劣化しちゃってしばらくなかった。
この間帰った時に買ってきてつけてくれた』
「へぇ、いいね」
2人で寝転がると、自ずと身体がくっつく。
動きに合わせてゆらゆら揺れるし…
「あー、これ。 …眠くなるね」
そう言って穂波の方を見ると、
すぐ、近くに顔がある。
なんだろ、布団とかですぐ近くにあるのとはまたちょっと違う。
重心がおれの方にかかってて、
おれの重心も穂波の方にあって、
引っ張られてる感じというか。
逃げれない感じというか
おれのことを少しだけ見上げた穂波の唇に唇を重ねる。
ゆっくりと 啄むように 何度かキスを交わした。
「………」
『………』
「…穂波、これ新しく設置されてから、ここで寝ちゃったことある?」
『…うん、ある。2回。お兄ちゃんが夜中に起こしてくれた』
「…2回とも?」
『…もう1回は雨が降ってきて起きた』
「…ふ 笑」
身体を横に向けると
自然とまるまるような姿勢になる。
穂波はおれの頭の位置までもぞもぞと登ってきて、
額と額を合わせた。
おれの手は穂波の腰の上。