第5章 夏
夕飯ができたので研磨くんの方をみると、
ソファに座って上を向いて、
ファンをじーっとみていた。
…かわいいなァ
ダイニングテーブルに向かい合って座る。
量がわからないから、ワンプレートじゃなくて、
大皿に盛って自分で取るようにした。
研磨くんは、思ってたよりたくさん食べた。
普通、というか。少食というわけではないんだな、と思った。
…でも、部活帰りの高校生の量にしては少ないのかな?
わからないけど、美味しい、と言いながら食べてもらえて本当に幸せ。
「…ご飯、美味しいね。少しだけ、おかわりもらってもいい?」
『うん、もちろん。よそおっか?』
「…ん、ありがとう。いつも土鍋で炊くの?」
『うん、基本土鍋だけど、炊飯器の方が理に適ってる時は炊飯器も普通に使ってるよ。笑』
「…へぇ。美味しいね」
豚汁もお代わりをしてくれて、
好きな人にお代わりをよそえることの幸福感ったら!
2人とも食べ終わって、片付けを始めると研磨くんも手伝ってくれた。
座って休んでいて欲しいとも思うけど、
それも気を使うかもだし、早く終われば早く一緒にゆっくりできるからお願いした。
お茶を淹れて、
冷蔵庫にあったぶどうといちじくを一緒に食べた。
時計をみるともう20:20
お土産、渡さなきゃ
『研磨くん、まだ時間ある?部屋ですこしゆっくりできるかな?』
「うん、大丈夫」
…よかった。こういうとき、近くに住んでるってありがたいナ。
・
・
・
お土産、わたしからのもお兄ちゃんからのも喜んでくれた。
Tシャツはハワイの土を混ぜたもので染めてるって作り手さんが言ってた。
ザ・お土産!という感じではないけど
その方が長く使えるものも多いし、
普通にプレゼントとして選ぶのももらうのもうれしいかな、って思う。
「ねぇ、穂波。こっちきて、ハワイの写真みせて」
『…うん、パソコンでみよっか。ちょっと待ってね』
MacBookを持ってきて、データを開く。
海の写真とか、植物とか空とか、動物とか。
ケンやマヒナおばあちゃんとその家族、フラの先生、お兄ちゃんに友達。
一緒にみながら向こうでの話をした。