第19章 みかん
「…ま、俺は穂波ちゃんの連絡先ゲットしちゃったけどねー。逢引できるね♡」
『…ふふ、そうだね♡ …あ、クロさん』
「…ん?」
『…やっぱなんでもない。 クロさん、ありがとう』
かおりさんから聞いたクロさんが言ってたこととか、
嬉しかったって言いたくなったけど、
なんかちょっと違うのかなって思ってやめた。
「うわぁー気になる〜 それ。
え、なに言おうとしてたのかなって思って夜も眠れなくなっちゃったりして…」
『あはは、ごめん。 でもほんと、行き着くところは、ありがとうだから。クロさんありがとう』
「…なんかわかんねーけど、どういたしまして。 …あれもっかい言ってよ」
『…ん?』
「クロさん、だいす…」
「…クロ」
研磨くんが目を覚ました。
「あ、起きちゃった? ザンネーン」
大きなあくびをひとつ。
『…ふふ』
「…穂波、すき」
「 ! 」
『 ! 』
クロさんもいるし、電車の中だし、驚いちゃう …小さな声だけど
『うん、わたしも。 研磨くんがすき』
「…ん」
もう一度、大きなあくび。
水筒の水を飲む
「…来週」
『…ん?』
「穂波ん家行きたい」
『うん、わかった。 …3連休だっけ?』
「うん」
『…ん、やった』
「…コホンッ……」
「あ、クロ。来週の3連休って…」
「1日、半日、オフ」
「…ん。 オフ」
『オフ』
…やった。久しぶりに研磨くんが家に泊まりに来てくれる。
そしてもうすぐ、夏休み!