• テキストサイズ

【ハイキュー】   “波長”   【孤爪研磨】

第19章 みかん


ー赤葦sideー





「ぉあっ! 穂波ちゃんの連絡先、聞くの忘れちゃった」





帰りのバスの中で木兎さんが叫ぶ。






「…まぁ、またすぐに会えますし」

「まーそうだな。 …教えてくれるかなぁー」












『あっそうだ。 京治くん、これ、はい』







わかれぎわ、
穂波ちゃんに手渡されたのは一枚のポストカード。






『京治くんに選んでもらった本のしおりにしてたから、
ちょっと周りが擦れちゃってるけど… 再会の印てきな?
よければ、受け取ってください』






丸の内で会った時に一緒にみた展示のものだ。
花咲く富士、という作品。

鮮やかな赤に目が行きがちだが、
白と青で織りなされた富士の頭の方の色使いに心惹かれた。
前面に咲く枝垂れ桜もまた、鮮烈な赤とのコンストラストが対照的で印象深かった。






「あぁ、うん。喜んで。 嬉しいよ」







ついでに連絡先でも書いてもらおうか、
そんな考えも過ぎったが、やめた。








なんだろうこの、深々と俺の中に積もっていく感じは。








穂波ちゃんの発する一言や表情が、
俺の中に静かに積もっていく。
それでしばらく、満たされるような気がした。








それに連絡先を聞かずとも、
会える時は会えるのだと、
今回身をもって体験した。

今回が異例なだけだったかもしれないが…









次会えるのは月末、森然で。
浮かれてる場合ではないが、楽しみだ。









/ 1804ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp