第19章 みかん
「穂波… っちゃん!」
『翔陽くん!』
「研磨の彼女ならと思ってちゃんで呼んでみることにした!」
『…ふふ。無理しないでね』
「お、おう!ご飯どれも美味かったっす!ごちそうさまでした!」
『こちらこそ、いつもむふふをご馳走様です』
「…へ?」
『…なんでもなーい』
翔陽くんの話をする研磨くんは
わたしのむふふの素の1つだから。
そして今回知れたのは、
翔陽くんのバレーをみる研磨くんも
わたしのむふふの素だ。
そしてきっと必ず翔陽くんは
進化してく。
次会うときはきっとまた、
翔陽くんのままで次のステージにいるような、そんな子だ。
それはつまり、研磨くんの表情も
より一層綻ぶやもしれない。
…これについては後ほどクロさんと共有しよう。
でも研磨くんがどうこう以前に、
ほんとうに魅力的な子だ。
この普段の感じがまたいい。
「じゃあ、また!」
『うん、またすぐにね!ありがとう。翔陽くん、大好き』
「…ほっ ほぇっ だっだだっ…」
真っ赤にのぼせていく翔陽くん。
…しまった。またやってしまった。
「…ふ 笑」
『あ、研磨くん笑った』
「…よく跳ぶみかん色の翔陽くんと走る美女さん」
研磨くんが小声で何かを呟いた
『…ん?』
「ううん、なんでもない。翔陽、いくよ」
翔陽「だっ はっ、 …穂波さんには研磨がいるんで! だっ だっ」
研磨「…穂波、翔陽はクロと違うからね」
はい、すみません。
わたしは玄関先でバイバイし、
クロさんと研磨くん、それからリエーフくんがバスのとこまで見送りにいった。
見送るのって、晴れやかでそして切ない。
すぐ会えると分かっていても、
その前の賑やかさがあった分だけきゅうんとする。ナ。
・
・
・
体育館や、使った教室の片付けをしてる
わたしはひとりで調理室にいる。
朝使った食器や道具を綺麗に拭いてしまったり、
オーブンを拭いたり、シンクを綺麗にしたり。
…とても楽しい。
「穂波ちゃん、お疲れさま」