第19章 みかん
ー研磨sideー
昨日の夜はあんま寝れなかった。
部室では我慢できたけど、
やっぱ身体は興奮したみたいでもぞもぞした。
…はぁ、まぁ、自業自得か。
ご飯を食べに降りたけど、やっぱ穂波はいない。
きっと調理室にいるんだと思って、
朝食を乗せたトレーを持って調理室に向かう。
エプロンつけた穂波は野菜を切ってるみたい。
大きなボウルにころころと根菜が転がっていく。
台所にいる穂波、好きだ。
…いつも好きだけど
「…穂波、おはよ」
『…おはよう、研磨くん。よく眠れた?』
「…んー、あんまし」
おれに向けられた笑顔もみれるし。
ここにきて正解だ。
材料の量も量だからいくつかの調理台にいろいろ置いてあるけど、
主に穂波が使ってて食材置き場になってない、
一番すっきりした調理台の端に椅子を出して座る。
穂波の和食。朝の和食。
寝不足だからあんま食べれないけど、
それでもいつもの合宿より食べれる。
気持ちの問題なのかもしれないけど…
なんでもいい、おいしくて好きなことには変わりない。
納豆まだ食べてないし、
2人だけしかいないうちにキスしたいと思った。
2度目のキス、
唇が離れたところで
「…コホンッ……ごちそうさまです!」
皿を返しにきてる人たちが来た。
…というか、タイミングを見計らってる人たちもいたし、
すでにこっそりと置いていったんだろうトレーもあった。
…ま、いいんだけど。
お茶を飲んで、
歯磨きしたり準備しにいく。
去り際にほっぺにキスしたら、
顔を赤くして照れてた。
自分はもっと大胆なことちょこちょことやってくるのに、
どうしてこうもウブな反応を時折みせるんだろう。
かわいいったらない。