第19章 みかん
「穂波ちゃん、お待たせしやした!」
『あ、仁花ちゃん』
一緒に洗い物を進めてく。
『ちょっとだけ仕込みの方に行ってきてもいい?』
「あ!もちろんです!」
(音駒のセッターさんはなぜあそこで食べているんだろう…人混みを避けるためやも…)
2つの大鍋で筑前煮の材料を順番にさっと炒めてから、
椎茸の戻し汁と調味料を加えて落とし蓋をして煮ておく。
その間に英里さんと雪絵さんが来て3人で洗い物をしてくれてるので、仕込みを続行。
筋切りをするために大量の豚肉を冷蔵庫から取り出す。
「…すごい量だね」
『うん。すごい量だよね。…たまにモノのように感じちゃうから、気を引き締めてやらなきゃ』
「…………」
『あ、お茶飲む?今ならできる』
「…………」
『…時間大丈夫なら、遠慮なく』
「…ん。いただく」
『はーい 緑茶?五穀茶?』
「持ってきたの?五穀茶がいい」
『うん、少しだけ持ってきた』
お茶を淹れながら、フードプロセッサーで生姜をぶいんってする。
チューブの買えばいいのかもだけど…
プロセッサーがあれば正直手間はさほどかわらないような。
『はい、お茶どうぞ』
「…ん、穂波が料理してるとこみるの好き」
『…ふふ。 わたしも研磨くんがゲームしてるのみるの好き』
「おい、朝から堂々といちゃこらしてんじゃねーよ」
『 ! 』
気が付くと後ろに夜久さんがいた。
『夜久さん〜 遅いよぉ〜』
夜久「は!?なんのこと? …あ、あれだろ」
夜久さんがにやにやし始めた。