第19章 みかん
ー穂波sideー
7月8日 4:00
早めに起きてぼんやりした頭をゆっくりと覚ましてく。
7時には選手たちが朝食を食べに来るので、
5時45分ごろから朝食はマネみんなで用意する。
色々仕込んだし、みんなでするし、ご飯炊く時間の間にできると思うんだけど、
早くできたら早く起きてる人たちが食べればいいから、とのことだった。
いつもはぬるま湯で顔を洗うけど
学校の水道からは水しか出ない。
一気に目が覚める。
…少し外を歩こうかな。
着替えに部屋へ戻ると、
昨日軽トラの前にいたかっこいいお姉さんが同じ部屋で寝ていることに気付く。
…ふふ。旅っぽい。
お兄ちゃんと同じくらいの歳かなぁ
水筒と本を持って歩き出す。
・
・
・
玄関の段差に座って空をみながらぼーっとする。
日が出てきた。朝焼け。
綺麗だな…
もう4時半くらいか…
「穂波ちゃん、おはよう」
振り向くと京治くんがいた。
京治くんは小さく微笑むとわたしの隣に腰掛ける。
『おはよう、京治くん。 …朝、早いんだね』
「もう少し遅く起きようと思ってたんだけど、目が覚めちゃって。
もしかしたら穂波ちゃんも起きてるんじゃないかと思って来てみたら本当にいた」
『…ふふ。朝食までまだ長いね。 けど早起きは好き』
「俺も、早起きするのは好き。 朝は何かと捗るし」
『うんうん。読書も、勉強も、ぼーっとするのも捗るよね』
「…ぼーっとするのが捗る?」
『うん。ぼーっとするのが捗る』
「…………」
『本、持って来たけど日の出前だったし、空見てたらあっという間に時間が過ぎたよ』
「…あれ、穂波ちゃんここ」
京治くんの冷たい指が首筋に触れる
『…んっ………』
驚いて咄嗟に首筋に手をやると
京治くんの手に重なった
「あ、ごめん。つい、触ってしまった」
『ううん、それは大丈夫なんだけど… えぇっと…』
京治くんの手に触れたあと さっと手を避けたのだけど、
その手は今、京治くんに握られている
「…あ、ごめん。 こっちも、つい握ってしまって………」
『…ふふ …あははっ 笑』