第5章 夏
手を繋いで穂波の家に向かう。
穂波はおれの部活のことや、
ゲームの進み具合とかを聞いてきた。
こういうときって、
旅行から帰ってきたひとの話を聞くものだと思ってた。
別にいやな意味じゃなくって、なんとなく。
「穂波の話もいろいろ聞かせてね。
今じゃなくてもいい。…まだ、時間あるし」
『…あ、うん。なんか研磨くんにこうして、またいつも通り会えるのが嬉しくって。質問ばっかしてたね 笑
……もうそこがうちだから、入ってゆっくり話そ。』
穂波の家はおしゃれ?な家だった。
木の家ってやつで、玄関を開けると大きなワンフロアになってて、暖炉もあった。
『研磨くん、部活から帰っていつもなにする?』
「…シャワー浴びて、ご飯食べる」
『だよね!シャワー、浴びてきて?わたしご飯仕上げとく』
「…え。…いいよ」
ご飯家で食べていける?とメールで聞かれていたので、
親には連絡しておいた。
もしかしたら穂波が作ってくれるのかも、くらいには思ってたけど
シャワーまで借りるなんて想定外。
『…なんで?気にせず使って。着替えがないかぁ』
「……ん。着替えはいいよ、これ着るし」
『…何かあると思うから、ちょっと待っててね。ソファにでも掛けてね』
「…ん。わかった」
穂波はガレージの上の倉庫に行ってくる、と言って外に出て行ったので
ソファに掛けて待つ。
階段の下が暖炉スペースになってて、いまは綺麗に片付けられてる。
冬はここに火が入るのか。
高い吹き抜けの天井ではファンがまわってる。
こんな家初めて来た。かっこいいな。
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『お待たせ、研磨くん。
これどうかな?B品なんだけど、もしよければ』
ご両親はショップに自分たちで作った服も置いているらしく、
そのB品でサイズが合うのを探してきてくれたみたい。
『あんまりサーフっぽくないの選んでみた』
「…うん。ありがと。」
『お風呂はね、こっちだよ。ちなみにこっちがトイレ。
タオル、ここにあるの、使ってね』
「…ん」