第5章 夏
ー研磨sideー
合宿が終わってからは時間が合わせやすくなって、
穂波とは何度か電話をした。
今日の昼にハワイを発って明日の朝には日本に着くらしい。
今日の昼って日本の夜?わけわかんなくなる。
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朝起きると穂波からメールが入ってた。
【家についたよ〜 部活終わり会えるかな?】
今日は朝から練習で、夕方には終わるかな。
久々に会える。
…楽しみ。
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部活が終わって、クロと電車に乗る。
「今日〇〇駅で降りるんだろ?家行くの?」
「うん」
「へぇ、親御さんもみえるのかねぇ。なんか研磨に会いたがってるっつってたよな。」
「…いないんだって、きょう。オーストラリアから来てる友達とどっか行ってるって」
「…夜も?」
「…たぶん」
「………ガンバレヨ」
「え、なんでクロが緊張してんの。…別に何も予定してないし。
久しぶりに会えるのが楽しみだなってだけ」
「いや、お前らは予定なんざ立ってなくても、コトは絶対起きる。
それが今日かはわかんねーけどよぉ」
「…なにそれ。…クロの予言?」
「…なんとでもいえや」
そんな会話をしてるうちに〇〇駅に着いた。
『研磨くん!』
改札のところに穂波は居て、
そばに行くと海外の人みたいに抱きついてきた。
これはもともとこういう風な穂波が
ハワイにいる間に感覚が持ってかれてるからなんだろ。
しかもハワイから戻ったら家にオーストラリアの人がいるなんて、
ストップかからないよな、と想像する。
びっくりしたけど嬉しいから、
そっと腰に手を回して少しの間抱きしめたあと、
身体を離して、おかえり、と言った。
『ただいま!研磨くん。』
「…うん」
今日の服装は
アイボリーの膝丈ワンピース。
首元が開いていて、綺麗な鎖骨がみえる。
前開きで貝殻でできたボタンが並んでる。
足元は黒いビーサン。
かわいいな、と思う。